YOASOBIの代表曲「夜に駆ける」。疾走感のあるメロディが印象的な曲ですが、歌詞の背景を知ると、その聴こえ方は大きく変わります。
「夜に駆ける」は、星野舞夜さんの小説『タナトスの誘惑』を原作として作られた楽曲です。そのため、歌詞の意味を考えるうえでは、原作との関係を知ることが大きな手がかりになります。
この記事では、「夜に駆ける」はどんな曲なのか、歌詞にはどのような意味が込められていると考えられるのか、原作との関係を中心に分かりやすく紹介します。
また、「いつの曲?」「YOASOBIのデビュー曲?」「何かの主題歌?」といった疑問についてもまとめました。
YOASOBI「夜に駆ける」はどんな曲?
「夜に駆ける」は、YOASOBIが2019年12月15日にリリースした第1弾楽曲です。
YOASOBIは、コンポーザーのAyaseさんとボーカルのikuraさんによる、「小説を音楽にするユニット」。その出発点となったのが「夜に駆ける」でした。
原作は、星野舞夜さんの小説『タナトスの誘惑』です。小説の物語をもとにAyaseさんが楽曲を制作しており、「夜に駆ける」の歌詞や世界観を理解するうえで原作は重要な存在です。
楽曲は2020年にTikTokやSNSなどを通じて広がり、Billboard JAPANの2020年年間総合ソングチャート「JAPAN HOT 100」で1位を獲得しました。CDシングルを発売していない楽曲が年間総合1位になるのは、当時のBillboard JAPAN年間チャートで初めてのことでした。
さらに2025年には、Billboard JAPANが集計するストリーミング累計再生数が12億回を突破。これは同集計で史上初の記録です。
YOASOBIの始まりとなった一曲であり、その後の日本のストリーミング時代を象徴するヒット曲の一つになったと言えるでしょう。
「夜に駆ける」の歌詞の意味を原作から考察
「夜に駆ける」の歌詞には、恋愛だけでは説明しきれない不穏さや切なさがあります。
その理由を考える手がかりになるのが、原作小説『タナトスの誘惑』です。
※ここからは原作『タナトスの誘惑』の内容・結末に触れます。また、作品のテーマとして自死に関する内容を扱います。
原作『タナトスの誘惑』との関係
『タナトスの誘惑』は、主人公の「僕」と「彼女」を中心に展開する物語です。
「夜に駆ける」は、この物語をそのまま説明するのではなく、登場人物の感情や出来事を音楽へ落とし込んでいます。
そのため、楽曲だけを聴いたときには恋愛を描いた曲のようにも感じられますが、原作を知ったうえで聴くと、歌詞に登場する言葉や二人の関係が違った意味を持って見えてきます。
「小説を音楽にする」というYOASOBIの特徴を、最も分かりやすく体験できる楽曲の一つです。
歌詞から見えてくる「僕」と「彼女」の関係
歌詞を原作と重ねて考えると、「僕」は「彼女」に強く引きつけられながら、その心を理解しようとしていることが見えてきます。
しかし、二人の関係は単純な恋愛として描かれているわけではありません。
原作を踏まえることで、歌詞に感じられる「二人だけの世界へ向かっていく感覚」や、明るい未来だけでは説明できない危うさが、よりはっきりしてきます。
ここが「夜に駆ける」の面白いところです。
メロディだけを聴けば爽快なポップソングにも感じられる一方、物語を知ってから聴き直すと、同じ曲がまったく違った表情を見せます。
なぜ重い物語を疾走感のある曲で表現している?
「夜に駆ける」の大きな特徴は、原作が扱う重いテーマと、楽曲の疾走感とのギャップです。
ピアノを中心とした細かなフレーズとテンポ感のあるリズム、そしてikuraさんの透明感のある歌声によって、曲は一気に駆け抜けていきます。
ところが、原作を知って歌詞へ目を向けると、その明るさだけでは説明できない世界が見えてきます。
この「聴いた印象」と「物語の内容」の対比こそ、「夜に駆ける」を何度も聴き返したくなる理由の一つではないでしょうか。
ベースを弾く立場から聴いても、単に暗い雰囲気を作るのではなく、曲全体を前へ進ませることで物語の緊張感を表現しているところが印象的です。
原作を読む前と読んだ後で曲の印象が変わる――これこそ「小説を音楽にする」というYOASOBIならではの面白さだと思います。
「夜に駆ける」はいつの曲?YOASOBIのデビュー曲?
「夜に駆ける」は2019年12月15日にリリースされた楽曲です。
そして、YOASOBIにとって最初に発表された第1弾楽曲、つまりデビュー曲にあたります。
大きなヒットとなったのは2020年で、TikTokやYouTube、ストリーミングなどを通じて急速に広がっていきました。
そのため「2020年の曲」という印象を持っている方もいるかもしれませんが、リリース自体は2019年です。
「夜に駆ける」は何の主題歌?
「夜に駆ける」は、映画やテレビドラマ、アニメの主題歌として生まれた曲ではありません。
星野舞夜さんの小説『タナトスの誘惑』を原作として制作されたYOASOBIの第1弾楽曲です。
そのため、「何の作品の主題歌?」というよりも、「どの小説をもとに作られた曲?」と考える方が、この曲の成り立ちには近いでしょう。
MVを見ると物語の世界がさらに分かりやすい
「夜に駆ける」のMVを手掛けたのは、アニメーション作家の藍にいなさんです。
楽曲だけでも物語は伝わってきますが、映像と合わせて見ることで、二人の関係や楽曲が持つ危うさを視覚的にも感じられます。
まず曲を聴き、その後に原作を読み、もう一度MVを見る。
この順番で作品に触れてみると、最初に聴いたときには気付かなかった表現が見えてくるかもしれません。
「夜に駆ける」はなぜこれほどヒットした?
「夜に駆ける」は、2020年にTikTokやYouTube、ストリーミングを通じて急速に広がりました。
Billboard JAPANの2020年年間総合ソングチャート「JAPAN HOT 100」では1位を獲得。CDシングルを発売していない楽曲が年間総合首位となるのは、年間チャート発表開始以来初めてでした。
さらにロングヒットを続け、2023年にはBillboard JAPANのストリーミング集計で国内累計10億回を突破。2025年には12億回へ到達し、こちらも同集計で史上初の記録となりました。
SNSから広がり、CDではなくストリーミングを中心に巨大なヒットへ成長した「夜に駆ける」は、日本の音楽の聴かれ方が大きく変化していった時代を象徴する一曲とも言えそうです。
YOASOBIについて
YOASOBIは、コンポーザーのAyaseさんとボーカルのikuraさんによる音楽ユニットです。
「小説を音楽にする」というコンセプトのもと、2019年に「夜に駆ける」で活動をスタートしました。
Ayaseさんが物語から楽曲を作り上げ、ikuraさんが歌によってその世界を表現する。この組み合わせがYOASOBIの大きな特徴です。
「夜に駆ける」以降も数多くの楽曲を発表しています。
YOASOBIの別の代表曲については、当ブログの「アイドル」の解説記事でも紹介しています。

まとめ|原作を知ると「夜に駆ける」の聴こえ方が変わる
「夜に駆ける」は、2019年12月15日に発表されたYOASOBIの第1弾楽曲です。
疾走感のあるメロディが印象的ですが、その背景には星野舞夜さんの小説『タナトスの誘惑』があります。
原作を知らずに聴いたときと、物語を知ってから聴いたときでは、歌詞やメロディから受ける印象がかなり変わる曲だと思います。
まだ楽曲だけしか知らない方は、原作との関係を知ったうえでもう一度聴いてみてください。
「なぜこんなに疾走感のある曲なのだろう?」
「この言葉は原作のどの場面とつながっているのだろう?」
そんな視点で聴き直してみると、「夜に駆ける」という曲の面白さをさらに発見できるはずです。


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