今回のテーマは『最小限の理論でジャズ演奏【ジャズ・ウォーキング・ベースのススメ】』です。
ジャズに関する教本はまだまだ少ないながらも、自分なりに色々と見てきました。
その中でもかなり初期に購入した本なのですが、とても良い内容ですのでご紹介したいと思います。
書籍情報
書籍名:ロックベーシストに贈る ジャズ・ウォーキング・ベースのススメ
著者:大戸 幹夫
私は近所の楽器店で入手したのですが、どうやら絶版になってしまったようです。
もう13年前の本なのですね…(^-^;
Amazon等で中古品が流通しているので、それを買われても良いと思います。
どんな内容?
タイトルの「ロックベーシストに贈る」とあるように、エレキベースでロックを中心とした楽曲を演奏している方に向けて書かれた本です。
私もロックを演奏していた高校生の頃、アレンジと言われてもルート弾き以外の方法を知りませんでしたが、ジャズを演奏するようになってから多少アレンジの幅は広まりました。
筆者の方もビバップと呼ばれる即興演奏に重きを置いた「ジャズ」に、ベースラインのパターンを広げるヒントがあると考え、本を書かれています。
その為ジャズに関する教本というよりは、ジャズを知る事でロックにも応用出来る力が付きますという視点です。
譜面の読み方や指板の音の把握のような初歩的な内容から、キーや音程、スケールといった理論の話も出てきますが、極力突っ込んだ話は出さずに必要最低限に留めております。
また文体も砕けた口調で書かれており、、所々にエレキベースに関するコラムがあったりと初心者が読むのに挫折しないような心遣いが見て取れるのも好印象です。
基本的にはウォーキングベースを中心とした解説が続きますが、少しだけソロについても書かれています。
ジャズのソロはスケールを把握していないと弾けないというイメージを払拭するようなアプローチがシンプルに書かれており、私も大いに参考にさせて頂きました。
リズムパターンもワルツ、ボサノバ、サンバ、アフロとウォーキング以外にも触れており、ジャズのバッキングはウォーキングだけでは無いことも解説されています。
CDも付属しているので読譜が苦手でも聴いて理解を進める事が出来ますし、エレキベース奏者に向けて書かれているので全部TAB譜が付いています。
私は本当にレッスン受講前は五線譜が苦手でしたので…これは非常に助けられた部分でもあります。
とにかく「ジャズを知れば音楽がもっと面白いよ」という筆者の思いが、1冊通して伝わってくる内容かと思います。
簡単な音楽理論からジャズセッション進行ルールのような、お作法にまで解説が及んでおりますので「少しジャズに興味があるから挑戦してみようかな」という方にはとても読みやすい本かと思います。
感想
とにかく読者に対して「楽しく読んでもらおう」と言う著者の気持ちが伝わってくる本でした。
ただでさえジャズと言うと難解で敷居が高いイメージですから、触れる前に遠ざかってしまう方も多いと思います。しかし文面からは、そんなイメージを必死で払拭しようとしているような印象を受けます。
「確かにジャズは難しい。だけど楽しいものなんだ!」
ジャズに限らず音楽なんだから楽しもうという筆者の思いは、今後音楽に携わっていく上で私も大切にしていきたいと感じさせられました。
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