譜面を見れば分かるのに、移動中に曲の進行を思い出そうとすると途中で止まる。そんなことはないでしょうか?
楽器に触れない時間でも、コード進行を頭の中で確認することはできます。すきま時間を練習に使う考え方そのものは、こちらの記事でも紹介されています。

今回は、いま練習しているスタンダード曲を1曲だけ選び、譜面なしで順番に思い出すための手順に絞ってみます。最初から完璧に再生しようとせず、止まった場所を見つける練習として始めてみても良いかと思います。
まずは「1曲を全部」ではなく、思い出せる長さに区切る
曲全体を一度に覚えようとすると、どこから曖昧なのかも分からなくなりがちです。まずは譜面を見て、短いまとまりに区切ります。
区切り方は、メロディがひと息つく場所でも、コードの流れが着地する場所でも構いません。自分が「ここまでなら言えそう」と感じる長さで十分です。
最初の区間だけを見て、コード名を声に出さず頭の中で順にたどってみます。次の区間へ進むのは、その短い部分を迷わず言えるようになってからでも遅くありません。
曲を細かく切ると、暗記が細切れになるようにも見えます。でも後でつなげるための足場ができます。まずは一か所、思い出せる場所を作るところから始めたいですね。
譜面を見ながら、進行の流れに目印を付ける
コード名を一列に眺めるだけだと、似たような場所で順番が入れ替わりやすくなります。そこで、各区間に自分用の目印を付けてみます。
たとえば「ここで落ち着く」「この並びがもう一度出る」「次はツー・ファイブ・ワン」といった短い言葉です。ツー・ファイブ・ワンは、ある着地点へ向かう定番のコードの流れを指します。譜面の中でその流れを見つけたら、コード名だけでなく「着地へ向かう部分」として覚えてみると、次を探す手がかりになります。
難しい分析を書く必要はありません。「前半と似ているけれど、最後だけ違う」のようなメモでも大丈夫です。コードを孤立した記号として覚えるより、曲の中でどう動いているかを見直せるのではないでしょうか?
楽器なしで行う、3段階の想起テスト
目印を付けたら、譜面を隠す前に一度だけ確認します。その後は、少しずつ思い出す比率を増やしていきます。
最初は譜面を見ながら、区間ごとのコード名と目印を順に追います。次に譜面を隠し、その区間だけを頭の中で言ってみます。声に出しにくい場所なら、スマートフォンのメモや紙に書く形でも使えます。
区間ごとに思い出せたら、曲の頭から次の区間までつなげます。この段階では、コード名だけでなく「ここで繰り返し」「ここから着地へ向かう」と目印も一緒にたどるのがポイントです。
親記事では、頭の中で曲を演奏する練習にも触れられています。進行が少しつながってきたら、コード名を追うだけでなく、その流れの上でベースを弾く場面を想像してみるのも面白そうです。
思い出せなかった場所だけを譜面に戻して直す
途中で止まったら、曲の最初から何度もやり直さなくても大丈夫です。止まった場所こそ、次に見るべき場所がはっきりした部分です。
譜面に戻り、直前のコードから次の着地点までを短く見直します。「コード名が出ない」のか、「順番が曖昧」なのか、「目印が付いていない」のかを分けてみると、戻り方が少し見えやすくなります。
見直したら、すぐにまた隠して同じ箇所だけを思い出します。譜面を長く眺め続けるより、見る時間と隠す時間を行き来したほうが、どこまで言えるのか確認しやすいと思います。
詰まる場所が見つかれば、その区間が次の練習場所です。「ここ前にも引っかかったな」と気付けるだけでも、曲全体をぼんやり覚え直す状態から抜け出しやすくなりますよ。
移動中に続けるための短い練習メニュー
移動中や休憩中は、長く集中できないこともあります。その日の時間に合わせて、やることを一つ選ぶだけでも続けやすいです。
時間がほとんどない日は、一つの区間を譜面なしで言えるか確認します。少し余裕があれば、曲の頭から覚えた区間までをつなげます。さらに時間が取れる時は、前回止まった場所だけを譜面で見直して、もう一度隠してみる。これなら短い時間でも練習の目的が散らかりません。
帰宅後や楽器に触れられる時には、覚えた進行を実際に弾いて確認する余地も残しておきたいところです。頭の中で言えたことと、演奏の中で使えることは同じとは限りません。
まずは好きな1曲の、ごく短い区間から試してみてください。譜面を見ない時間が、ただ待つ時間ではなく、曲の流れを自分の中でたどる時間に変わってくるかと思います。


コメント